
3月下旬に公開された東京五輪・パラのボランティア募集要項案では、交通費や宿泊費の自己負担・自己手配、1日8時間かつ合計10日間の活動などの条件が提案されていて、条件が厳しすぎるという批判の声が上がった。
組織委員会はこうした批判を受け会合を開催。
有識者の一部から「やりがいをわかりやすくPRしていく必要がある」という意見が出たという。
やりがい?!
間違いなく酷暑になる中、(大会が開催は7月24日から8月9日;パラリンピックは8月25日~9月6日)やりがいだけでこれだけの人々が無償で働いてくれるのかはかなりの疑問である。
2020年東京五輪ボランティア募集について
概算でも大会ボランティア8万人、都市ボランティア(東京都が募集)1万人の合計9万人とされている。
◇大会ボランティアとは大会運営に直接関わるボランティアのことで、競技会場や選手村などの大会関係会場およびその周辺で活動する。
観客サービスサポート、競技運営サポート、メディア対応サポートなどから通訳まで、14種類に分類されている。
◇都市ボランティアとは、国内または外国人旅行者に多言語での観光案内を行ったり東京の魅力を紹介するボランティアで、主な活動場所は空港・駅、都内観光スポットなどだ。
こちらの募集は都が行うが、組織委が募集する大会ボランティアと同様、全て無償(タダ)労働を前提に募集をかけようとしている。
(引用:https://imidas.jp/jijikaitai/l-40-239-17-08-g690)
募集要項
これらは一見しても分かる通り極めてハードルの高いもの。
しかも必要とされる語学や競技知識の習得は各自の「努力」に任される他、宿泊費や交通費も全て自己負担というブラックさには「こんなん誰がやんねん」「そこまで求めるなら金払って雇え」などと呆れ返る声が続出しました。
(参考:https://buzzap.jp/news/20180522-tokyo-olympic-volunteer-yarigai/)
後述しますが、リオ五輪では「英語やポルトガル語のオンラインコースが最大1年間無償で提供」というオリンピックボランティアへの待遇がありましたが、日本では、自分のお金で勉強をして外国語を話せるようにしてもらい、さらに自分のお金で宿泊して、みんなに尽くす人はボランティアにきてくださいと言っている状態と言えましょう。
「こんなすごい大会にボランティアさせてあげてる」
と言われているような気がします。
確かに色々な国の人と出会える平和な祭典ですし、もしかしたら選手も見れるかもしれません。
でも組織委員会の方々のボランティア自体のあり方についての知識、認識度が低いとみられても仕方のない発言かという意見が出るのも至極当然。
活動にあたり提供する物品等
- ユニフォーム
- 活動中の飲食
- ボランティア活動向けの保険
東京(会場が所在する都市)までの交通費及び宿泊は自己負担・自己手配
なぜブラックなのか?
これがブラックだと言われる所以です。
確かに、労働対価というのがあって働くというのが基本の中、ボランテイアをするというのにはモチベーションや目的があると思います。
仮に五輪が好き!一生の思い出に!憧れの競技を観れるかも!選手に会えるかも!?
などなどあるかもしれませんが日本に住んでいれば10日間有償のアルバイトしたお金で滞在費と観戦チケットが買えてしまうかもしれない!
と思うのは私だけでしょうか。。。。
有償ボランティアとは?
有償ボランティアは、無償ボランティアと異なり、交通費など活動経費の実費だけでなく「謝礼的な金銭」や「活動経費としての一定額の支給」などの金銭の支払いを受けるボランティアです。
2020年の東京五輪は語学力など求められるものも高く、研修にも時間を割かなければならない。
さらには大会中は酷暑が予想され、暑さのなかでも消耗しない快適な環境の整備や、ボランティアをしながら大会を楽しめることが望ましいと思う。
全て無償というのではかなり厳しいし人も集まらないのではと予想する声が多く、スポンサー企業も沢山集まっているので、有償にすればいいのにと思う声も多数上がっている。
そもそもオリンピックボランティアとは
ウィキペディアで調べてみると
オリンピックボランティアとは、 (IOC) が開催する、近代オリンピックの運営などを行うボランティアである。 近代オリンピック第1回目となるアテネオリンピック (1896年)から第11回のベルリンオリンピックまで、大会運営は兵役とボーイスカウトによって支えられていた。 その後、第二次世界大戦後に開催されたロンドンオリンピック (1948年)から一般の希望者がボランティアとして参加できるようになり、1992年のバルセロナオリンピックのオフィシャルレポートのなかで「オリンピックボランティア」という言葉が正式に定義づけられた。 参加人数は概ね増加傾向にあり、ロサンゼルスオリンピック (1984年)で約2.8万人だったボランティアは、アテネオリンピック (2004年)では約4.5万人、ロンドンオリンピック (2012年)では約7万人に上ったという。
ということで沢山のボランティアに支えられてきているのは事実だ。
ただ、今回の東京五輪の問題は外国語能力など学習時間のかかるものでかなり責任も伴うものをタダで乗り切ろうというところにも問題がある。
もちろんそれ以外のボランティアを酷暑の中で冷遇処置で無料で利用しようというのも良くない。
しかもボランティアには学生や若い世代を期待している部分も大きい。
高齢者でもボランティアに参加してみようという方もいると思うが、酷暑の中8時間もの労働が可能なのかはまた疑問。
支給物(wikipedia)
宿泊費、渡航費(wikipedia)
wikipediaのオリンピックボランティアによると
・開催地までの渡航費、および滞在費はすべて自己負担
・航空チケットや宿泊ホテルの手配も、各自の責任
・オリンピック会場の近くにボランティア用の宿泊キャンプが設営されることもある。
・間近で競技を観戦できる可能性もあるが、必ず観戦できるとは限らない。
・自国選手が出場する試合を観戦できるように現場で配慮がなされることもあり、選手と会話をしたり、記念撮影できることもある。
・開閉会式のリハーサルの観覧券や売れ残ったチケットがボランティアに無料配布されることもある。
・活動期間中は、業務のポジションによってはハードな業務内容を任されたり、休暇を取ることなく活動する場合もある。
前回のリオ五輪のボランティアはどうだった?
「ボランティアの待遇は実はそれほど悪くない」という記事があったので参考にしてみよう。
待遇、支給品
・制服一式
・通勤時間を含む雇用保険
・英語やポルトガル語のオンラインコースが最大1年間無償で提供
・仕事中の食事は1日1回提供
・公共交通機関を使えるプリペイドカード
食事
ホットフードと呼ばれるメインディッシュ付きの食事が準備された。
ロンドンオリンピックでもボランティアをした人からは「ロンドンよりはるかに美味しい」という声も。
(食事は日替わりでメニューが変わる。冷菜3種、フィジョアーダ(豆とご飯)、メインはベジタリアン、魚かチキンか豚肉、牛肉の3種から選べる。デザート付き)
(出典:http://diamond.jp/articles/-/99680)
実際は?
東京でも起こりうると思いますが、リオ五輪では、持ち場によってすごく忙しいところとそうでないところも格差があったようで、食事もお菓子しか配布されなかったという人もいました。
また、リオの治安の悪さもかなり響いており、リオデジャネイロ五輪開幕から1週間で5万人いたはずのボランティアも、1万5000人ほどが、それぞれ担当する会場に現れなくなっていたという。
お値段以上ではないが、いい体験や様々な国の人との交流、オリンピアの選手の競技観戦など、非日常的な体験も沢山できるので、とても良かったという体験談があるものの、一方ではお菓子しか提供されず8時間労働は無理と辞退する人もいた模様。
リオと東京五輪の違い
リオ五輪では交通費の支給がありました。
治安の不安は最後まで解消されないようでしたが、語学の無料コースがあったり、それなりの対応はあったと思えた方も多かったようです。
東京五輪では英語必須から始まり全て自費でお願いされているところがあります。この辺りの改善があるかないかでボランティア数も変わるかと思います。
まとめ
2016年のリオ五輪には渡航費や滞在費は原則自己負担にもかかわらず、世界中から約5万人のボランティアが集まったという。
日本でも災害ボランテイアを始め、学生でもボランティアに参加する方が増えてきている昨今、今度は東京五輪でボランティアをしようと思っていた人も多いはず。
もちろん災害ボランティアとオリンピックボランティアではかなりの違いがあります。
5年位一度の平和の祭典、協議会で正式なボランティア募集要項が出るのが7月となります。その際に批判があったことを踏まえて、有償にするところは有償に、暑さ対策の具体案なども盛り込んだものを期待したいと思います。